今回は、カノムトム (ขนมต้ม) を紹介します。カノム (ขนม) は「お菓子」、トム (ต้ม) は「煮る」の意味。丸い団子を「細く削ったココナッツの果肉:ココナッツロング」で包んでいるお菓子。
団子の皮は、もち米とココナッツミルクを捏ねたもの。団子の中には、ココナッツロングをパームシュガーで煮詰めた餡が入っています。
中に入れる餡を丸めて、もち米の生地で包んでからお湯で茹でるのです。だから、カノムトムと命名されたのでしょう。茹で上がった団子にココナッツロングを絡めて完成です。
色付きの団子もあります。パンダンの葉 (バイトゥーイ:ใบเตย) の搾り汁で色付けすれば緑色の皮、チョウマメ (アンチャン:อัญชัน) の花の搾り汁で色付けすれば青色の皮。その他、カボチャを練り込めば黄色の皮、紫芋を練り込めば紫色の皮。色付けしなければ白色の皮になります。

以下の写真は餡の様子。水で溶いたパームシュガーを火にかけとろみがついたら、生のココナッツロングを入れて適度な状態まで煮詰めて作ります。なお、少々の塩も加えますので、甘さの中に塩っけを感じる味わいになります。

カノムトムは、街中のお菓子屋台で売っていることが多いと思います。ココナッツの果肉づくしのカノムトム、見つけたら挑戦してみてください。
なお、作り方によっては、カノムトムと似たように見えるカノムトゥアベープ (ขนมถั่วแปบ) があります。このお菓子は、蒸した緑豆を使ったお菓子です。
ところで ...
以下の写真は、ココナッツの果肉の様子です。細く削ったココナッツの果肉は、どのようにして作るのでしょう。

以下の写真は、家庭用の専用道具の一例です。ティー・クート・マプラーオ (ที่ขูดมะพร้าว) と呼ぶと思います。「ココナッツの果肉をこそげ取る道具:Coconut Meat Scraper」の意味ですね。幾つものメーカーから発売されているようです。以下の写真を例にすれば、左側の歯を使えば細く削った果肉(ココナッツロング)が、右側の歯を使えば粉末の果肉(ココナッツファイン)が取れますよ。たぶん、街中の調理器具店で、20〜40バーツ程度で買えると思います。

以下の写真のような形状の歯がある道具もあります。デパートやスーパーマーケットの調理器具コーナーで見つけることができます。上記のモノより高級感があり全体がステンレス製のモノもあります。これは、ココナッツロング用の道具です。

こそげ取った果肉は「こそげ取ったココナッツの果肉」の意味であるヌア・マプラーオ・クート (เนื้อมะพร้าวขูด) などと呼ばれていると思います。一般的には、生のココナッツロングに薄く塩を振り、蒸し上げて作ります。
ココナッツロングは、いろいろなお菓子のトッピングにも使われます。合わせるお菓子で作り方を調整してる可能性がありそうですが、私は、薄くフワフワのココナッツロングが好きですね。硬いもの塩っけの強いモノは苦手です。

以下の写真は、カノムピアックプーンと言うお菓子。ココナッツロングが必ず付くお菓子の一つでしょう。

こぼれ話
カノムトムと同じような材料で作る別なお菓子があります。カノムイーブア (ขนมยี่บั๋ว/ขนมยี่บัว) と言います。中華系のコミュニティーで見かける中華菓子。海南省の伝統的なデザートである薏粑 (Yi bua) が源流とのこと。餡を生地で包んだ後にバナナの葉などで作った容器に入れて蒸して作ります。

中にはココナッツロングをパームシュガーで煮詰めた餡が入っています。なお、この店のカノムイーブアには白ごまがたくさん入っていました。

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