タイのスパゲティー スパゲティーキーマオがおもしろい - 自分で作ろう!

スパゲティーキーマオのアイキャッチ タイ料理

日本には、たらこスパゲティーのような和風スパゲティーがあるように、タイにも、タイ風スパゲティーがあるのです。スパゲティーキーマオ (สปาเก็ตตี้ขี้เมา) と言います。タイでは非常に人気のあるスパゲティーなのですよ。キーマオ (ขี้เมา) とは「吞んだくれ」のことなのですが ...
もともとタイには、パットキーマオ (ผัดขี้เมา) と呼ばれる炒め物料理があるのです。パット (ผัด) とは「炒める」の意味。よって、パットキーマオとは「吞んだくれ炒め」の意味。この「吞んだくれ炒め」でスパゲティー料理に仕立てたものが「スパゲティーキーマオ」なのです。

しからば「パットキーマオ」とはなんぞや? となりますよね。料理名の由来は定かではないようですが、酒が大好きな中華系の人物が、酒のつまみとして有り合わせの食材で作った炒め物から生まれた料理と考えられているようです。中華風の味付けとタイの食材とのハイブリッドで、美味しいおつまみ料理に仕上がったとのこと。その後、改良が加えられて今に至っているようです。味付けはオイスターソース、醤油、ナンプラー、砂糖、ニンニク、香味野菜などと生唐辛子。基本的に味は濃い目のピリ辛。食材は、適当な野菜、肉、シーフード、麺など何でもあり。有り合わせの食材で作る料理なので決まったレシピやテクニックも存在しませんね。非常に自由な料理なのです。
ここまで、「パットキーマオとは」と書いてはみたものの ... 
この味付けって、一般家庭で作る肉野菜炒めの味付けと何ら変わらないのですよ。55555 ... 味の濃さと辛さの調整は作り手次第でしょう。

とのことで、スパゲティーキーマオとは、日本人の身近な例で例えるなら、醤油味の肉野菜炒めに茹でたスパゲティーを入れたようなもの、醤油焼きそばの麺をスパゲティーに変えたようなもの。タイ人の身近な例で例えるなら、パットガパオ(ガパオ炒め)に茹でたスパゲティーを入れたようなもので、一般家庭でも良く作るスパゲティー。イタリアや海外の味付けのスパゲティーに対し、オイスターソースと醤油ベースの中華風味付けのスパゲティーをスパゲティーキーマオと呼んで区別しているのです。

さて ...
レストランなどで提供されるメニューとしてのスパゲティーキーマオは、エビを入れたスパゲティーキーマオクン (สปาเก็ตตี้ขี้เมากุ้ง) やエビ以外にイカなども入れたシーフード系のスパゲティーキーマオタレー (สปาเก็ตตี้ขี้เมาทะเล) が多いと思います。高目の値段設定ができるからでしょうね。一般的な特徴ですが、生唐辛子、タイ語でプリックタイオーン (พริกไทยอ่อน) と呼ぶ若い生胡椒の実をふんだんに使った激辛。生姜の仲間のクラチャーイ (กระชาย) やガパオなどの香味野菜、他の野菜が入っていることもあります。 激辛に加えてクラチャーイやプリックタイオーンも手伝って汗が出る料理です。

スパゲティーキーマオは、洋食系とタイ料理系の両方を提供するようなレストランやフードコートで食べることができます。そうそう、タイのファミレスである「S&Pレストラン」にあるメニューです。たくさんの店舗があるので、バンコクなら目にする機会も多いでしょう。 一度、スパゲティーキーマオに挑戦した上で、簡単なので自分で作ることをオススメします。

自分で作ろう!
以下の写真は、とあるフードコートで食べたスパゲティーキーマオタレーの様子。70バーツ也。ざっくり説明するので自分で作る時の参考にしてください。

フードコートで食べたスパゲティーキーマオタレーの様子
フードコートで食べたスパゲティーキーマオタレーの様子

入っている食材は、エビ、イカ、プリックタイオーン、クラチャーイ、ブロッコリー、カリフラワー、カイラン菜、そして生の赤唐辛子。
以下の写真が、若い生胡椒の実のプリックタイオーン。タラート(ローカルマーケット)の八百屋などで簡単に買えます。プリックタイオーンは外したくない食材です。

スパゲティーキーマオのプリックタイオーンの様子
スパゲティーキーマオのプリックタイオーンの様子
タラートの八百屋で売っているプリックタイオーン
タラートの八百屋で売っているプリックタイオーン

以下の写真が、生姜の仲間のクラチャーイ。タラートの八百屋などで簡単に買えます。タイではエビや魚の臭み消しに良く使われます。和名はオオバンガジュツ。クラチャーイの代わりにタイ生姜のカー (ข่า) や普通の生姜でも良いでしょう。硬いので千切りにして使います。臭み消しが不要ならなくてもよいかも。あれば味のアクセントにはなりますが ...

スパゲティーキーマオのクラチャーイの様子
スパゲティーキーマオのクラチャーイの様子
タラートの八百屋で売っているクラチャーイ
タラートの八百屋で売っているクラチャーイ

以下の写真が、カイラン菜の皮を剥いた茎と葉の様子。真ん中に見えるのはブロッコリー。タイ語でカナー (คะน้า) と言います。タイ飯屋の定番の野菜炒めであるパットカナームーに使われる野菜です。

スパゲティーキーマオのカイラン菜の様子
スパゲティーキーマオのカイラン菜の様子

実は、パットカナームーもスパゲティーキーマオと同じ調味料で味付けしているのですよ。なお、ブロッコリー、カリフラワーも含め使う/使わないは作り手次第。別な野菜を使うもあり。ガパオやホーラパ-、コブミカンの葉、レモングラスを入れるのもあり。コブミカンの葉は、タイ語でバイマックルー (ใบมะกรูด)、レモングラスは、タイ語でタックライ (ตะไคร้) と言います。ところで、これらの香味野菜をふんだんに使うとパットチャー (ผัดฉ่า) の風味に近づきますね。スパゲティーパットチャー (สปาเก็ตตี้ผัดฉ่า) の方が美味しいかも? パットチャーに興味のある方は「パットペット・プラードゥック・グロープ」を参照のこと。

スパゲティーキーマオの作り方をざっくりまとめると ...
エビやイカの代わりに豚肉を使うのも当然あり。味付けはオイスターソース、醤油、ナンプラー、砂糖、ニンニク、香味野菜などと生唐辛子。例えば、豚肉を使ったパットガパオムーにプリックタイオーンを加え汁だく目にして、茹でたスパゲティーを入れて味を絡めれば、スパゲティーキーマオムー (สปาเก็ตตี้ขี้เมาหมู) の出来上がり。ムー (หมู) とは「豚肉」のこと。一般家庭では、豚肉を使ったスパゲティーキーマオムーが主流でしょう。貴方も自由な食材でお好みの辛さのスパゲティーキーマオをお楽しみください。

こぼれ話
プリックタイオーンを使わず、普通のパットガパオムーサップとスパゲティーの組み合わせだけでも美味しいですよ。さらに、ラープムーナムプリックオーンとの組み合わせも面白いです。茹でたスパゲティーの上にナムプリックオーンを乗せれば、見た目からしてミートソースでしょう。タイ料理とスパゲティーとのフュージョン。我が家では、スパゲティーだけではありません。冷凍うどんとのフュージョンが多いかもしれない。ところで、タイには、米粉から作る麺、カノムジーンがあります。タイでは、いろいろな料理とカノムジーンとのフュージョンは普通のこと。

米粉から作る麺、カノムジーン
米粉から作る麺、カノムジーン