キュウリ? とうがん? ゴーヤ?
たぶん、それはヘチマです。ヘチマは、タイではポピュラーな野菜です。このヘチマと卵を使ったタイの伝統的な家庭料理がパットブアップ (ผัดบวบ) なのです。パット (ผัด) は「炒める」、ブアップ (บวบ) は「ヘチマ」の総称。「卵でとじる」料理なのでパットブアップ・サイカイ (ผัดบวบใส่ไข่) とも言います。サイ (ใส่) は「入れる」、カイ (ใส่) は「卵」の意味。パットブアップ・サイカイとは「卵入りヘチマ炒め」です。作り手/作り方次第ですが、醤油味の日本の「煮物」に近いような料理です。煮汁が少ないパットブアップもあります。まったく辛くない料理です。惣菜屋/ぶっかけ飯屋にあるので、是非、ヘチマ料理に挑戦してみてください。
パットブアップ・サイカイの作り方は簡単です。
みじん切りのニンニクを多目の油で炒め香りが立ったら、皮を剥き小さく切った、または乱切りのヘチマを入れしんなりしたら、水を加え、醤油、ナンプラー、オイスターソース、砂糖などのお好みの調味料で味付けして柔らかくなるまでヘチマを煮ます。煮汁が多少残っている状態で卵でとじて、味の調整をして完成です。なお、ヘチマがしんなりしたら先に卵を炒めて、水を加え調味料で味付けするのもありです。エビ、鶏肉、または豚ひき肉を入れるもまた良し。

タイの代表的なヘチマを3種類紹介します。どのヘチマもパットブアップに使えます。
ブアップ・リアム (บวบเหลี่ยม)
リアム (เหลี่ยม) とは角/縁の意味。全体に角状の模様があるヘチマ。皮は厚くて硬いので、剥いて使います。中はふんわりでほんのりと甘味があります。一年中収穫できるとのことので、いろいろな料理に使われます。タラートでよく見かけるヘチマです。

ブアップ・ホーム (บวบหอม)
ホーム (หอม) とは良い香りの意味。香りの良いヘチマ。全体に丸みがあり細長く、表皮はなめらかで薄緑色から暗緑色です。皮ごと食べることもできますが、皮を剥いた方が口当たりは良いですね。

ブアップ・グー (บวบงู)
グー (งู) とは蛇(ヘビ)の意味。全体的に細長く、先端が尖っており、白と緑の縞が特徴的。曲がっているものもあり、見た目がヘビのようなのでヘビヘチマ。皮ごと食べることもできますが、皮を剥いた方が口当たりは良いですね。

ところで、似たような料理にヘチマの代わりにゴーヤを使った卵との炒め料理があります。マラパットカイ (มะระผัดไข่) と言います。マラ (มะระ) とはタイのゴーヤ。パットマラ・サイカイ (ผัดมะระใส่ไข่) とは言わないのです。何故? 作り方が違うのです。マラパットカイは、事前に茹でたゴーヤをニンニクの卵炒めの中に混ぜた料理なのです。だから、煮汁が無いのです。
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